四番札所 長谷寺
四番札所長谷寺
御本尊十一面観世音菩薩 開基 藤原房前 開山 徳道上人
三番安養院田代寺より街道を西に進み稲村ヶ崎あたりまで来ると鎌倉屈指の大寺院があると聞いていましたが、そのお寺が四番札所長谷寺です。大和長谷寺と同木異体とのいわれをもつ御本尊様は身の丈も三丈三寸あり10Mと巨大ですがこれは大和長谷寺の御本尊様と全く同じサイズになります。開山上人も徳道上人で同じ縁起になりますから新長谷寺と呼称されていると案内記にも紹介されていますが本当のところはどうなのかな・・。大和長谷寺はご本尊様の御足元まで参拝できるのでその巨大さを実感できますが私見ではそれより少し小振りなような印象を受けました。しかしながら本尊様の巨大さは他に類例を見ないことは間違いないようです。吉野山の蔵王堂の蔵王権現様ですら約6mの身の丈ですから・・お寺の規模も鎌倉では大伽藍になることでしょう。
それにしても参拝者の多いこと!安養院田代寺や岩殿寺の寂しさが嘘のような喧噪です。そして伽藍の各々が綺麗に建立され伽藍配置が見事であること!お寺の縁起では奈良朝の藤原房前開基とありますが吾妻鏡ですら一切の記載がないので歴史的には不明なことが多いと言わざるを得ないと思います。また、 鎌倉将軍の関与の記録がないのは残念です。ご本尊様はおそらくは室町時代の作であろうと言われていますが修復が多く文化財としての指定はないようです。 花の寺と言われており紫陽花は素晴らしいとか。江ノ電の長谷駅の駅前の雑踏は門前町の形成過程を見るようで楽しいものがあります。お寺の盛衰は単に縁起によるものではなく庶民の信仰と支持に支えられたものであることを痛感いたしました。これで坂東三十三所の内、鎌倉札所4か寺は終了です。